家事事件手続法が施行されて1年がたちました。

junko post on 6月 17th, 2014
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 莚井です。お久しぶりです。

 家事事件手続法が施行されて早1年以上がたってしまいました。

 それで?何か実際に変わったでしょうか?

 変わりました!婚姻関係調整(いわゆる離婚)事件が!

 今までは、離婚する夫婦間に子どもさんがいても、裁判(調停含む)手続き上は「夫婦のどちらが親権を取るか」「子どもをどちらの親が引き取るかは親が決める。」という観点でしか見られていませんでした。親の離婚でどっちかの親とは別れて暮らすことになる子どもさんの驚き、苦しみは置いてきぼりだったのです。

 それが、関係者が、特に裁判所が、「親が離婚(するかもしれない)」状態になった子どもさんたちに、今の気持ち、親に対する思いや意見を聞くようになったのです。

 但し、親が離婚(するかもしれない)というのは、子どもにとっては試練でしかないというのは聞くまでもなく当たり前のことでした。そして、子どもたちはお父さんお母さんが大好きですから、子どもたちはご両親には悩みを打ち明けてくれません。誰にも言えないでいる思いがたくさんあります。そこに、裁判所のほうが子どもたちに尋ねると、それなりに話してくれます。こんな感じです。↓

 「なんでうちが?!普通に、お父さんお母さん仲良くしてほしいのに、何でできないの?」「僕(私)が悪いの?私(僕)のせい?」「お母さん、お父さんの勝手で家引っ越すの絶対いや。学校変わるのもっといや。僕(私)らは家出ていかへん。お父さんとお母さんが一緒にいるから喧嘩になる。だったら、半分ずつ(たとえば1週間ずつ)帰っ(てきて私たちと暮らしたら)たらいいのに。」・・

 子どもたちはそれまで当たり前と思っていた日常、両親が揃って一緒に暮らす「普通の」風景がなくなることをなかなか受け入れることはできません。

 子どもが離婚をいやがってることは分かっていた。それなら、裁判所が子どもの気持ちを聞くことは無駄じゃないの?と思われるかもしれませんが、そんなことはありません。

 「普通」じゃなくなることに傷つき、苦しみながらも、両親の離婚(するかもしれない)状況を知らされ、裁判所が気持ちを聞いてくれたことで子どもたちの感じる疎外感は薄れます。

 さらに、裁判所からご両親に子どもたちの思いをフィードバックすることができます。それを受けてご両親の子どもさんたちに対する接し方も変わります。少なくとも「親の決めたことに子どもは黙って従うべき」とは言われなくなります。こうして、裁判所の聞き取りを経ることで気持ちが落ち着き、親の離婚を受け入れられるようになる子どもさんたちが大勢います。

 他方、子どもさんたちにとって裁判が早く進みすぎ、気持ちの整理がつかないまま、親の離婚に納得できないまま裁判が終わってしまうこともあります。

 どちらにせよ、親の離婚という試練に直面した子どもたちの苦しみをどうしたら軽減できるのでしょう?

 特効薬はありません。

 ですが、子どもたちの苦しみを軽くできるプロセスがあります。

 「面会交流」です。これも、家事事件手続法の中で重視されるようになりました。

 ところで、「どっか場所と時間決めて会うだけ」と一見簡単そうに見える面会交流ですが、実際にはなかなかスムーズにはいきません。子どもと親との日程調整もなかなか大変なのです、最近の子どもは忙しいですから。また、日程が決まったら決まったで今度は子どもは当日もその前後も期待と不安で緊張しまくり、ちょっとしたことで泣いたりすねたり、はしゃぎすぎたり。たまにしか会えない親に普段通りの姿は見せてくれません。面会交流が無事終わったとしても、今度は緊張が解けてぐったり。子どもを育ている方の親にとっても、たまにしか会えない方の親にとっても徒労感があり、何のために苦労してこんなこと(面会交流)続けてなきゃいかんのか、と嘆きたくなるお気持ちはよくわかります。

 ところが、緊張して疲れていても、面会交流を続けると子どもにはメリットがあります。「なんだ、お父さん(お母さん)ってこんな人だったんだ」、「仕事で疲れてても会いに来てくれた。一緒には暮らせないけど、気にかけてくれている。」とわかってくれるようになり、「「離婚したからお父さんとお母さんは夫婦じゃなくなったわけだけど、私(僕)の親であることには変わりない。離れて暮らしていても親子なんだ。」と親の離婚を受け入れてくれるようになります。

 つまり、面会交流は、日程調整やらなんやら、親にとっては結構な負担です。その分、子どもにとっては、気持ちの整理と親の愛情を確認できるものであり、とっても「いいこと」なのです。

 「面会交流権は子どものための権利であって、親の権利ではありません。」というのは、そういう意味なのです。

 長文になってしまいましたが、今までお読みいただきありがとうございました。

 

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