国選付添人選任対象事件の拡大について

kadomatsu post on 6月 2nd, 2014
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門松です。 今回は、少年法の改正についてお話しします。

 

平成26年6月18日より、改正少年法が施行されます。

今回の改正では、

①国選付添人選任対象事件の拡大

②検察官関与対象事件の拡大、

③少年刑の上限の引き上げ、

の3点がなされました。

その中で、①について、ご説明したいと思います。

 

前提として、 被疑者段階の事件(テレビなどでは「容疑者」と呼ばれている段階です)

まだ、逮捕・勾留されて、取調べなどの捜査を受けている段階です。

この場合、成人でも少年でも変わりなく、 窃盗・傷害など比較的軽い罪でも、

国選すなわち国が費用を出して、 弁護人を選任することができます。

成人の場合は、従来の制度でも、窃盗や傷害でも正式に裁判にかけられる(これを「起訴」というのですが)と、

 経済的な余裕がなければ、国費で弁護人を選任できます。

 

しかしながら、少年の場合は、正式に審判が開かれることになったとしても、

今回の法律の改正前は、

国費で付添人(成人でいう弁護人と同じような役割を持つ弁護士)の支援を 受けられるのは、

殺人・強盗殺人などの重大事件に限定されていました。

 

今回の改正では、 被疑者段階の弁護人の選任範囲まで、

少年事件でも国選で、 付添人を選任できるようになりました。

 

今までは、窃盗や傷害、恐喝など少年事件で比較的多い非行については、

保護者が費用を負担できない場合は、弁護士の会費から費用を援助して 付添人を選任していました。

 

付添人の仕事は様々で、

本人と非行の原因を一緒になって考えたり、

保護者との間の関係を調整したり(もちろん、保護者の方の相談にも乗ったりすることはあります)

学校との協力し合って、少年の登校を確保して、更生を支えたり、

勤務先に再度雇用してもらえるように依頼したりすることもできます。

 

驚かれるかもしれませんが、少年は、非行を起こしたりした場合、

親に金銭的な負担をかけるのを極端に嫌がる傾向があります。

付添人になってほしいけれど、親に迷惑がかかるからいりませんと 断られたこともあります。

その場合、国費で付添人の選任ができる、といえば、

多くの少年たちが付添人の援助が受けることが可能になります。

 

ただ、この制度は、付添人を選任するかどうかについては、 裁判所の裁量によるところ、がある点です。

弁護士会としては、 できるだけ多くの少年に付添人の援助が受けられるように 裁判所と協議を続けているところです。

 

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