今回は、子どもの面会交流について、お話をしたいと思います。
年明けのブログで、家事事件手続法が施行されましたとご紹介しました。
この家事事件手続法で新たな制度として取り入れられたのが、「子ども手続代理人」の制度です。
簡単に言えば、離婚や親権、監護権、面会交流について、
小学校高学年くらいの子どもについては、自分の意見を言うために、弁護士の代理人をつけようという制度です。
もちろん、これまでの離婚事件においても、裁判所の調査官が、子どもの意見聴取などを行ってきました。
それを一歩進めて、弁護士が、現在の裁判の状況や見通しなどを子どもに分かりやすく説明して、
自分なりの気持ちを代わりに伝えることが可能になるようにしようという制度なのです。
私は、子どもの権利委員会の委員から派遣されて、この新しい制度の導入を進めようというプロジェクトチームに入っています。
そのことが縁で、先日、子どもと同居していない親との面会交流の援助をしている
社団法人家庭問題情報センター(通称「FPIC」)大阪ファミリー相談室の方と、懇談会を行いました。
FPICでは、おおよそ1年間の間、面会交流が円滑に進むように、プレイルームや公園・施設などで、
子どもと親とが面会するのに付き添ったり、子どもを受け渡しをする援助を行っています。
今回の制度の導入とともに、面会交流全般についていろんな意見交換をさせていただきました。
離婚をするということになる以上、夫婦間に埋められない溝ができているのですが、
どちらも子どもと暮らしたい、暮らすことはできなくてもせめて定期的に会いたいという思いを持っておられることが多いです。
ただ、夫婦間では、それなりの溝があるので、当事者同士だけでは、うまく面会交流を実施できないこともしばしばあります。
その場合、FPICの方が援助に入って、育てている親(監護親)と面会を求める親(非監護親)の間を取り持って、
面会交流を進めて下さっています。
そのときに、FPICの援助者の方が大切にしていることで印象に残っていることがあります。
まず、子どもに接するときは、子どもを一人の人間として尊重し、
どの程度理解できるかはともかく、子の面会交流についての意味を説明するということで、安心感を与えること。
そして、たまにしか会えない非監護親との面会を楽しんでいいんだよ、というメッセージを伝えること
の2点です。
「面会交流というのは、父母間の紛争の犠牲者である子どもに対する、せめてものささやかな幸せを実現するというのが原点なんです」
面会交流というのは、子どもの権利なんだということでした。
新しい子どもの手続き代理人という制度も、両親の離婚によって犠牲になってしまう子どもたちのために利用される制度になっていけばいいなと思っています。