門松です。
ブログの投稿がすっかり間隔があいてしまいました。すみません。
平成30年2月10日(土)に莚井と「揺さぶられる司法科学―揺さぶられっこ症候群(SBS)仮説の信頼性を問うー」という揺さぶられっこ症候群(Shaken Baby Syndrome=SBS)に関するシンポジウムに参加してきました。
揺さぶられっこ症候群(SBS)というのは、
乳幼児を激しく揺さぶることにより、首が鞭のようにしなり、頭の中に大きな回転力が加わり、脳の周りの欠陥や脳の神経が引きちぎられて、重傷を負い、中には後遺症が残ったり、死亡する事例もあります(厚労省のホームページでも紹介されています)。しばしば虐待事例として取り上げられ。刑事事件として、保護者が逮捕・起訴され、有罪判決を言い渡されることもあります。
脳の柔らかい、頭が体に比べて大きい乳幼児を揺さぶること自体は、とても危険な行為で、それ自体虐待であるといえます。
しかし、SBSの加害者とされた保護者は、子どもを揺さぶったりはしたことはないと主張する人もいます。
日本では、三主徴(硬膜下血腫・網膜出血・脳浮腫)がそろっていて、3m以上の高位落下事故や交通事故の証拠がなければ、自白がなくても(認めていなくても)、SBSの可能性が高いという理論により、病院に搬送された乳幼児が、この三主徴がそろっていた場合は、SBSと認定され、虐待案件や刑事事件として、取り扱われるのです。
ただ、アメリカやイギリスの諸外国では、この理論を疑問視する見方が強まり、スウェーデンでは、この三主徴から揺さぶりがあったことを診断するという方法には科学的エビデンスがないと最高裁判所などが判断しました。
今回のシンポジウムは、このような状況を日本で紹介するためのものでした。
主として刑事弁護人としての視点からのシンポジウムでしたが、莚井や私は、どちらかというと子どもを揺さぶったとして、虐待したと疑われている保護者の代理人活動に生かせるのではないか、という動機で、シンポジウムに参加しました。
(虐待事件の親側代理人の活動については、また別途このブログでご紹介したいと思います。)
私は、SBSの被害にあった乳幼児に、硬膜下血腫・網膜出血・脳浮腫が生じうるということについては、疑問を呈する医学的な知識は正直言ってありません。
もちろん、子どもの脳にこのような重篤な怪我がないように、親として配慮しなければならないのは当然です(今、小さな子どもを抱える親としても、そう思います)。
もっとも、乳幼児に硬膜下血腫・網膜出血・脳浮腫の三徴候があれば、すべてSBS=虐待と断定して保護者を虐待親と決めつけ、生まれて間もない乳児を一時保護、施設入所させて長期間にわたって、保護者から引き離す…ということについては、もっと慎重に考えるべきではないかなと思っています。
今回のシンポジウムでは、この三主徴があればすべて虐待、傷害事件、殺人事件として決めつけるのは危険だというメッセージが伝わってきました。
このシンポジウムと通じて、実際に虐待かどうかは、この三徴候だけでなく、様々な角度から調査をして、判断をしていくことが必要なのではないかと感じました。